今回は、単純接触効果(mere exposure effect)について紹介します。
単純接触効果は、恋愛にも活用できる心理学です。
ぜひ、最後まで見てみてください。
単純接触効果(mere exposure effect)とは?
心理学辞典の説明
まず、心理学辞典の説明を見ていきます。
有斐閣現代心理学辞典では、単純接触効果について、
評価や強化を伴わずとも、ある刺激に繰り返し接触するだけで、その刺激に対する好意的な態度が形成される現象
と説明されています。
アメリカで活躍した社会心理学者であるロバート・B・ザイアンスが提唱しました。
ザイアンスの名前を取って、ザイアンス効果とも呼ばれています。
何かを勉強する際に辞書や辞典を参照することはとても大事です!
最近では、ネット上で知識を取り入れることも多いと思います。
しかし、たくさんの情報が溢れているほか、ときには誤った情報が混ざっていることもあり、勉強がうまく進みません。
始めに、辞書や辞典で、定義等の正確な情報を確認することで、理解がブレずに学習を進めていくことができます。
手元に辞書や辞典をご用意されることを強くオススメします。
単純接触効果(mere exposure effect)の解説
単純接触効果(mere exposure effect)の英語の意味
まず、単語の意味を確認していきます。
心理学用語は英語を日本訳していることがほとんどですので、英語の意味を確認します。
日本では、英語を略した心理学用語も多く使われています(例:ADHDなど)。
日本での使われ方で、なんとなく意味を覚えてしまうと微妙に間違って理解してしまうこともあります。
そのため、心理学用語などは、もともとの英語の意味を確認することが非常に重要です!
単純接触効果は、英語でmere exposure effectとなります。
「mere」とは、「単なる」「ほんの」といった意味で、「exposure」とは、「さらすこと」「触れる」といった意味です。
それで、単純接触効果となるのですが、「単純な」「接触」とはどういったものをさすのでしょうか。
単純接触とは?
接触が相手に認識されていなくてもOK
では、次にどういったものが単純接触になるかを説明します。
接触とは、先ほど英語で確認したように、対象にさらされたり、触れたりすることです。
なんと、その接触は、相手が明確に認識していなくても大丈夫(専門用語で「閾下(いきか)」と言います。)なのです!!
例えば、たまたま相手の目に入っただけでもOKということです。
そのくらい「単純な」接触でも単純接触効果は生じるようです。
全く同じ接触の仕方でなくてもOK
また、単純接触を「繰り返す」ことで、対象に好意が生じるというものですが、何度も相手と会うしか方法はないのでしょうか。
これについては、似たような構造であれば、全く同じ接触の仕方でなくてもいいです。
似たような構造の基準は、明確にはわかりませんが、
例えば、毎日「会う(直接目に触れる)」ではなくても、画像等で目にするといった刺激でもOKということだと思います。
ほかにも、毎日「話す(直接声を届ける)」でなくても、メールで「お話し」したりすることも似たような構造となるかもしれません。
人物に限らない
これまで、人と人との接触を例に、説明してきましたが、単純接触効果は視覚、聴覚、言語といった対象でも生じます。
このあと、いくつか例を紹介します。
単純接触効果の注意点
これまで、単純接触について細かく確認してきました。
なかなか汎用性の高そうな心理学でしたが、一点弱点があります。
それは、熟知した相手だと単純接触効果が生じにくい!!ということです。
単純接触効果(mere exposure effect)の具体例
いくつか、単純接触効果の具体例を紹介します。
いずれも、納得できるようなものだと思います。
日常の中にどれほど単純接触効果が潜んでいることがわかると思います。
具体例1 隣の席の人
これは、学生あるあるじゃないでしょうか。
隣の席の人というのは、毎日、顔を合わせたり、ちょっとした会話をしたりします。
まさに単純接触効果が生じる環境だと思います。
具体例2 よく行くお店の店員さん
形式的な会話以外、特別な会話しなくてもだんだん顔を覚えたりしますよね。
友人に「いつも行くコンビニ店員さんがさぁ」とか言って、話題にしたり。
私も、よく行くコンビニのカタコトのおばちゃんを気に入ってました。
いつもの時間にいないと少し寂しかったりもしますね。
恋愛的に好きになるまでのことはあまりないとしても、なんとなく好意的になると思います。
具体例3 テレビCMや広告
先ほど、単純接触効果は、人対人に限らないと説明しました。
広告とかテレビのCM、お店のBGMなど視覚、聴覚、言語的な物に対しても、何度も見たり聞いたりしていると単純接触効果が生じるということです。
企業などは、それを狙って何度も何度も印象的なフレーズを流したりしています。
多くの人は、知らず知らずのうちに曲などが頭に残り、お店に馴染むようになっていくというカラクリなのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
恋愛などに活用する場合は、嫌われない程度に何かしらの接点を持ち続けるといった具合が良いのではないでしょうか。
いつの間にか、相手の中に馴染んでいき、いなくてはならない存在になるかもしれません。(保証はしません。)
以下にこれまでのことをまとめておきます。
- 単純接触効果とは、「評価や強化を伴わずとも、ある刺激に繰り返し接触するだけで、その刺激に対する好意的な態度が形成される現象」である。
- 相手が接触を認識していなくても効果は生じる。
- 構造が似ていれば、全く同じ接触の仕方でなくても大丈夫。
- 人以外に、視覚、聴覚、言語的刺激などの対象にも効果が生じる。
最後に、おすすめの心理学関係の書籍を紹介します。
また、他にもいろんな心理学用語を紹介していますので、見てみてください!
参考文献
「単純接触効果」. 河原哲雄. 『有斐閣現代心理学辞典』. 初版. 有斐閣, 2021, p.505
齊藤勇監修 田中正人著. 『図解 心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問』. 誠文堂新光社