この記事では、傍観者効果について説明しています。
住宅街で一人の女性が殺害された事件をご存知でしょうか。なんと、その事件は、目撃者が多数いたのです。なぜ、女性は助けられなかったのでしょうか。
その答えの一つが今回の傍観者効果になります。是非最後までご覧ください。
傍観者効果(bystander effect)とは?
有斐閣現代心理学辞典では、傍観者効果について、
援助が必要とされる状況において、傍観者の存在によって、援助行動が抑制されること。
と説明されています。
アメリカの社会心理学者であるビブ・ラタネが提唱しました。
何かを勉強する際に辞書や辞典を参照することはとても大事です!
最近では、ネット上で知識を取り入れることも多いと思います。
しかし、たくさんの情報が溢れているほか、ときには誤った情報が混ざっていることもあり、勉強がうまく進みません。
始めに、辞書や辞典で、定義等の正確な情報を確認することで、理解がブレずに学習を進めていくことができます。
手元に辞書や辞典をご用意されることを強くオススメします。
傍観者効果(bystander effect)が起こる原因
1 責任の分散
傍観者の数が多ければそれだけ、援助をする責任が分散してしまうということです。
自分が助けなくても誰かが助けるだろう、と考えたりしますよね。
2 社会的影響
有斐閣心理学辞典によれば、
人々の認知がや行動が他者の存在や働きかけにより変化したり、あるいは変化せずに維持したりすることをいう
とあります。
傍観者効果においては、「周囲の人たちが援助行動をしていない」という状況から、「あ、援助しなくていい程度なのかな」「自分もしないでいいかな」という考えに至ることなどですね。
社会的影響の一例で、社会的手抜きという現象もあります。
集団で課題を遂行するときの1人当たりのパフォーマンス(努力量など)が、単独個人で遂行するときと比べて、低下する現象のこと
3 評価懸念
街中で、誰かを助けようとするときに、
- え、これ助けるタイミングじゃなかったらどうしよう
- うまくいかなかったら、まわりからどう思われるかな
- 恥ずかしいな
とかいろいろ考えませんか。このように他者からの評価を気にすることを評価懸念といます。
キティ・ジェノヴィーズ事件の概要
いかがでしょうか。
殺人事件を目の前で見ていても助けられないというほどに傍観者効果という心理は強いものなのです。
傍観者効果にまけず、悲惨な事件を二度と起こすな
日本人は傍観者効果が起こりやすい?
日本においても、キティジェノヴィーズ事件に似た事件が起こったことがあります。しかも2006年というわりと最近の事件です(滋賀県電車内駅構内連続強姦事件-wikipedia)。
なぜ、日本人は傍観者効果が表れやすいと思うかというと、傍観者効果のメカニズムの社会的影響と評価懸念が、日本人は非常に強いと思うからです。
日本人は、集団から浮いたことをしない、周りに合わせるというのがすごくありますよね。周りの人が助けていないんだったら、自分も助けないでおこう、となりやすいと思うのです。
それと合わさって、周りが助けない中で自分が助けに行って、実は、助けがいらない場面だったらどうしようと、周りからの評価が気になって動けなくなることも日本人によくあることだと思います。
傍観者効果を乗り越えるには?
強姦や殺人事件といった悲惨な事件を起こさないためには、もし自分が目撃したときには一人で考えずに、周囲の人に相談するというのが傍観者効果に飲まれない方法だと思います。
傍観者効果のメカニズムである社会的影響を逆に利用するのです。
どういうことかというと、「みんなでやれば怖くない」という言葉がありますよね。
隣の人に「あれ助けた方がいいんですかね」と聞いたとき、自分の周りのみんなも「助けた方がいい」と思っているのであれば、助ける方向に社会的影響が働くわけです。
そして、一人が援助行動を取れば、周囲の人も一気に援助行動を取るようになるはずです。
いかがだったでしょうか。
少しでも参考になれば幸いです。
他にも、興味深い心理学用語をたくさん解説していますので、是非ご覧になってください。
参考文献
「傍観者効果」. 浦光博. 『有斐閣現代心理学辞典』. 初版. 有斐閣, 2021, p.706
齊藤勇監修 田中正人著. 『図解 心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問』. 誠文堂新光社