ブーメラン効果(boomerang effect)とは?
まずは、心理学辞典での説明を見ていきます。
有斐閣現代心理学辞典では、ブーメラン効果について、
説得の効果が、説得の送り手の意図に反して唱導の方向とは逆の方向に働き、説得の受け手の態度の硬直化や反発が生じること。
と説明されています。
社会学者のジャック・W・ブレームの心理的リアクタンスの研究などがもとになっています。
何かを勉強する際に辞書や辞典を参照することはとても大事です!
最近では、ネット上で知識を取り入れることも多いと思います。
しかし、たくさんの情報が溢れているほか、ときには誤った情報が混ざっていることもあり、勉強がうまく進みません。
始めに、辞書や辞典で、定義等の正確な情報を確認することで、理解がブレずに学習を進めていくことができます。
手元に辞書や辞典をご用意されることを強くオススメします。
ブーメラン効果(boomerang effect)の解説
ブーメラン効果の単語の意味
ブーメラン効果について詳しく説明していきます。
ブーメラン効果とは、説得しようとすると、相手が余計に反発したり、態度が硬直することでした。
なぜ、ブーメランというのかというと、説得しようとする人の意図とは逆のことが起こってしまうからです。
相手に当てようとしたブーメランが自分に戻ってきてしまうわけですね。
ブーメラン効果が起こるのは心理的リアクタンス理論のため
心理的リアクタンスとは?
ブーメラン効果を説明するためには、「心理的リアクタンス理論」というものを説明する必要があります。
自分の自由が他者から侵害されたときに、自由を取り戻そうとする心理的抵抗
リアクタンスとは、もともと科学の分野で使われる言葉で、電気の流れを妨げるものを指すようです。また、誘導抵抗などと訳されています。(専門ではないので、間違っていたらすみません。)
それが、心理学の世界では、心理的な抵抗という意味で使われるようになりました。
自由を脅かされることへの抵抗
基本的に、人間だれしも、行動の選択は自由です。
自由にご飯を食べたければ食べ、映画を見たければ見ることができます。
しかし、例えば、ダイエットをしていてご飯の量が制限されているとか、映画がごく短期間限定の公開であるとかすると、行動の自由が制限されるわけです。
そうした場合に、本来の自由を取り戻そうと、制限に対する抵抗が起こるのです。
余計にご飯が食べたくなるし、今見ないと映画が終わると思うと見てしまいます。
これが、心理的リアクタンスです。
説得で行動を変える=説得される側の自由が脅かされる
つぎに、なぜ、心理的リアクタンスがブーメラン効果を起こすのか説明します。
例えば、「勉強しなさい!」と説得されると、逆にしたくなくなる、ということがありますね。
これは、「自発的に勉強をする」もしくは「勉強しない」という選択の自由がおびやかされることになります。
このようにして、説得される側が自由の侵害を感じて、説得の内容に反発したり、態度を硬直させたりするわけです。
ブーメラン効果が生じやすいのは?
どのような時にブーメラン効果が生じやすいか見ていきましょう。
説得の受け手の立場
説得の受け手が何に力を入れているか、意識をむけているかによって説得の効果が変わってきます。
やはり、受け手が、説得の内容と逆のことに意識を向けているときは、ブーメラン効果が生じやすいです。
説得の話題への関与度
例えば、環境問題に関して、何らかの意見を持ち、団体等で活動している人に対して、別の意見を説得しようとしても難しいでしょう。
このように説得の話題への関与度が高い場合にはブーメラン効果が生じやすいです。
説得への予告
今から説得してこようとしていることが事前にわかる場合、態度を硬直させやすいです。
説得とは、説得される側からすると、今の自分を否定し、変えることになるわけなので、そんなことを予告されると身構えてしまいます。
説得側のことが嫌い、信用していない
なんかシンプルですけど、同じ内容でも誰が言うかによって受け手側の態度は大きく変わりますよね。
説得される側が、説得する側のことを嫌いだったり、信用していないとブーメラン効果は生じやすいです。
まとめ
これまでお話ししてきたことをまとめます。
- 説得の効果が、説得の送り手の意図に反して唱導の方向とは逆の方向に働き、説得の受け手の態度の硬直化や反発が生じること
- 自由の侵害に対する抵抗である心理的リアクタンスによってブーメラン効果は起こる。
↓YouTube動画を載せておきますのでよかったらご覧になってください。
【ブーメラン効果】メソ博士のクソ心理学#2
参考文献
「ブーメラン効果」. 杉浦淳吉. 『有斐閣現代心理学辞典』. 初版. 有斐閣, 2021, p.674
齊藤勇監修 田中正人著. 『図解 心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問』. 誠文堂新光社