この記事では、マージナルマン(marginal man)という心理学用語について解説していきます。
皆さんにも、自分が大人なのか子どもなのか分からなくなり、たそがれた経験などあるのではないでしょうか。
心理学ではこのような時期にある人をマージナルマン(marginal man、境界人)と呼びます。
この記事では、マージナルマンについて詳しく説明していきます。
マージナルマン(marginal man)とは?
マージナルマンの辞典の説明
まず、心理学辞典の説明を見ていきたいと思います。
有斐閣現代心理学辞典では、マージナルマン(marginal man)について
発達的に子供にも大人にも属さない青年期の特徴を説明するために用いた概念である。境界人と訳される。
と説明されています。
アメリカの心理学者であるクルト・レヴィンが心理学の世界においてマージナルマンという言葉を使いました。
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マージナルマン(marginal man)の解説
マージナル(marginal)とは?「周辺的」などをあらわす言葉
マージナルマンとは、日本語では「境界人」と訳されます。
マージナル(marginal)とは、英語で「周辺的」などの意味を持つ単語です。
もとは、人間生態学において、ロバート・E・パークという社会学者が、一つの文化圏のみに完全に属せず、複数の文化圏に不完全に属している人々のことをマージナルマンと呼びました。
社会には、アジア圏、アフリカ圏、高所得者、低所得者…などなど様々な文化圏が存在していますが、
そのどこでもなく、複数の文化圏に属していたりする人々ということですね。
そこから、クルト・レヴィンが心理学の世界において、
大人でもなく、子どもでもなく、その中間にあるような人々、青年期の人たちをマージナルマン(marginal man)と呼ぶようになりました。
青年期は、心理社会的に成人になる前の責任猶予期間であるとしてモラトリアム(moratorium)と呼ばれる。青年期の人々は、このモラトリアムの期間にアイデンティティを確立したり、人生に対してどう生きるかといった意思決定をしようとしたりする。
まとめ
- 発達的に子供にも大人にも属さない青年期の特徴を説明するために用いられる概念
- もとは、人間生態学で、複数の文化圏に属する人々に用いられていた。
- 心理学者のクルト・レヴィンが心理学においてもマージナルマンという言葉を使用した。
- マージナルマンである時期(青年期)はモラトリアム(猶予期間)と呼ばれ、精神発達上重要な時期である。
参考文献
1)「マージナルマン」. 大野久. 『有斐閣現代心理学辞典』. 初版. 有斐閣, 2021, p.721
齊藤勇監修 田中正人著. 『図解 心理学用語大全 人物と用語でたどる心の学問』. 誠文堂新光社